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労働契約法改正案を提出 政府 有期5年超で無期雇用

2012/08/02

 政府は23日、契約社員など働く期間が決まっている有期雇用の労働者が、同じ会社で5年を超えて働いた場合は、本人の希望に応じて期間を限定しない無期雇用に転換できる労働契約法改正案を閣議決定した。非正規労働者の処遇改善と雇用安定化を図る。
 政府は同日、改正案を国会に提出した。現在、有期雇用の契約は最長3年と定められているが、何度も契約を更新して長い期間、同じ会社で働く人も多い。企業にとっては、無期雇用だと業績が悪化しても解雇するのは難しいが、有期雇用なら「雇い止め」を行うことで、人件費を柔軟に減らせる利点がある。
 2008年のリーマン・ショック直後、多くの有期雇用の労働者が仕事を失ったことが社会問題化した。
 改正案は、同じ企業で通算5年超働いた有期雇用の労働者が希望すれば、企業は無期契約への転換に応じなければならないと明記。その会社と契約していない期間が途中にあっても、空白期間が原則として6か月未満なら、雇用期間を通算して対象期間とする。
 改正案には、雇用の期限の有無で労働条件に不合理な違いを設けてはならないとする規定も盛り込まれた。有期雇用の労働者だけに通勤手当を与えないなどの措置もとれなくなる。
 だが、経済界では有期雇用の労働者に対する需要は根強い。厚生労働省の推計では、有期雇用の労働者は約1200万人おり、このうち勤続年数が5年を超える人は約360万人いる。改正案に産業界には、「雇用の調整をしにくくなり、結果的に雇用が縮小しかねない」(日本チェーンストア協会)と反発する意見もある。
 改正案が成立すれば、企業側が無期雇用への転換期限となる5年を前に契約を打ち切る動きが出る懸念もある。このため、実際にどこまで無期雇用への転換が進むかは不透明な面もある。(戸塚光彦)

 図=有期雇用から無期雇用に転換できる例
[読売新聞社 2012年3月24日(土)]